予備・司法試験の学習法2~入門段階の教材の選び方

ここでは、予備・司法試験入門段階の教材の選び方について解説していきます。
教材も実際にご紹介していきます。
科目別の教材については別途解説していきます。

1、入門段階で必要な教材
前回のブログでも解説したとおり
①六法
②インプット用教材
③論証集(インプット用教材に含まれている場合は不要)
④短答用問題集
⑤論文用問題集
が必要になってきます。

2、六法
まずこれは必須です。最初のうちは、テキストに条文が出てきた度に六法を引きましょう。そして条文を読みましょう。
例え条文の内容がわからなくても読みましょう。
司法試験、予備試験は、まずは条文からスタートです。
司法試験は国会が作った法律を解釈して適用する試験ですから(原則、憲法という例外的な科目もあります)条文が一番大切なのです。

六法には、六法全書のような重厚なものや、実際の予備試験で配布される「司法試験予備試験用六法」、実際の司法試験で配布される「司法試験用六法」
などもあります。

ただ、学習の際には、いわゆる学習用六法を使いましょう。
岩波のコンパクト六法、三省堂のデイリー六法、有斐閣のポケット六法が有名です。

私は個人的にはデイリー六法が好きですが、この3つの選択は好みでよいでしょう。

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この六法に載っていない法律が出てきたときはインターネットで検索すれば足ります。
多数の方はスマートフォンをお持ちでしょうし、法律の学習にもスマホを最大限活用しましょう。

3、インプット用教材

入門段階ではこれをメインに使います。テキストを条文を引きながら読み、理解し、記憶すべきことは記憶する。
その素材となる教材です。

予備校に通われている方は、それを使ってください。
また法学部やロースクールの学生さんで、学者の教科書(司法試験業界では「基本書」と呼びます)が指定されている方は、それでもよいでしょう。

予備校のテキストも市販されております。

有名なところでは、伊藤塾の塾長が書かれた「試験対策講座」

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私が講師を務めるLEC東京リーガルマインドで出している「C-Book」

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あたりがあります。
予備校のテキストはビジュアルが見やすく、また法律系7科目が全て刊行されているのですが、一方で、科目によってムラがあったり(わかりやすい科目もあるが、これってどうなの?って科目も
正直あります)、一部記述が古かったりするので、科目ごとに本屋で手にとって選んだほうがよいでしょう。

また、学者の基本書を使う方法ももちろんあります。
たくさんありますが、例えば民法総則なら、佐久間先生の民法の基礎 といったものがあげられます。

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インプット用教材ですが、予備校に通われている場合は、そのテキストをまずは使っていってよいでしょう。
予備校にも法学部にも通ってない、完全に独学の方は自分で選ぶ必要があります。
その場合も、本屋に行って実際に手に取って「これで勉強が続けられるかな?」という観点で選んでいって下さい。

科目別のインプット用教材の選び方(レビューみたいなもの)は別記事でやります。

3、論証集
予備試験、司法試験の論文式試験に立ち向かうためには「論証集」というものを、覚える、というより書けるようにする必要があります。
「論証集」は論文を書くパーツだと今は考えてください。別記事で詳しく解説します。
とすれば、この論証集を入手する必要があります。

まず、予備校のテキストには、通常論証が載っています。
これは、通学用のテキスト(予備校の講座を取らないと手に入らない)ものにはもちろん、市販のテキスト(試験対策講座やC-Book)にも載っています。
ですので、それらのテキストを持っている方は別に用意する必要はございません。

問題は、学者の基本書をインプット用教材にした場合です。

まず、論証を自作する方法があります。これは、自作するだけで大変よい司法試験の勉強になるのですが、一方で時間もかかるし、ある程度法律の学習が進んでいないと
使えません。

そこで、次に予備校の論証講座を取る方法があります。
講師オリジナル論証集 解説講義

ただ、論証集をほしいだけなら、少し高い出費になってしまうかもしれません。逆に論証集の解説講義も欲しいならよいと思います。
※上記の講座は、一通り法律を学習したことがある方向けです。全くの初学者はとらないでください。

また、市販の論証集を使う方法もあります。

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ただ、上記の論証集は全科目あるわけではないんですよね。

いずれかの方法で論証集を入手してください。

4、短答用問題集

短答用問題集は自分が使いやすそうだなと思ったものなら何でもよいです。
ただ、体系別(分野別に頭から問題がならんているもの)の方が、インプットの後にすぐ解けるのでよいと思います。

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5、論文用問題集
論文用問題集には、レベル1~3まであります。
レベル1とは、基本的な論証を覚えていればすぐ書ける問題(つまりインプットがきちんとできていれば解ける問題)
レベル2とは、予備試験の論文式試験レベルであって、少し込み入った事例の処理や、理論的な法解釈を聞く問題
レベル3とは、司法試験の論文式試験レベルであって、複雑な事例の処理や、判例の批判など高度な法解釈を聞く問題
です(私の分類です)。

入門段階で必要なのはレベル1の問題集です。

ただ、純粋なレベル1の問題だけを収録した問題集はなかなかなくて、
レベル1~2.5くらいの問題が混在している書籍が多いです。

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上記教材の使い方、使う順序は別記事で書きます。

ちなみに今学習を始めようとしている方。
上記の教材を一気にそろえる必要はありません。

まずは六法と、始めようとしている科目のインプット教材だけでも、司法試験、予備試験の学習は始めることができます。

例えば、デイリー六法とC-Bookの民法総則だけ買う。

短答の問題を解くときに問題集は改めて買う。
この方が、教材の合う合わないを確かめながら、教材を購入できるのでよいと思います。

予備・司法試験の学習法1(入門段階1)

ここから、予備試験の法律科目の学習法について書いていきます。

ロースクール(法科大学院)入試も、入門段階ではほぼ同じ学習法が通用します。既修者入試に限りますが。
(予備試験とロースクール入試は、最後のレベルが違うだけだと思ってください)。

ですので、ここからは

①入門段階
②予備試験レベル
③司法試験レベル

の3つのレベルに分けて解説していきます。

ここからは、レベル1「入門段階」の話になります。

1、学習の順序
法律科目には学習の順序があります。
例えば、民事訴訟法という科目を学ぶには、民法という科目を学んでおく必要があります。民法で発生した権利を、裁判で求めていくのが民事訴訟法だからです。

ですので、最初に、

第1順位 憲法、民法、刑法を

その次に、

第2順位 商法、民事訴訟法、刑事訴訟法、行政法

をやっていく順序がいいと思います。

ただ、第一順位の中の科目で、何を先にやるかは自由です。
憲法、民法、刑法のどれからやってもよいということです。

そして、第一順位が終わった後に、第二順位の科目に取り組みます。
第二順位の科目の中での優先順位はありません。
商法、民事訴訟法、行政法、刑事訴訟法のどれからやってもよいということです。

※厳密にいえば、 民法 → 民事訴訟法、刑法→刑事訴訟法、民法→商法、行政法はなるべく最後の方に のルールに従えば、学習順序は自由です。

2、おすすめの学習順序

とはいっても、何からやればよいか迷う方も多いでしょう。

私のおすすめの順序は

民法 → 憲法 → 刑法 → 商法 → 行政法 → 民事訴訟法 → 刑事訴訟法
です。

この点は異論もあるかと思います。あくまで、私個人の考え方です。

憲法から学習する方も多いと思いますが、私は「民法」から学習することをおすすめしています。
その理由は、
①憲法は、下位の法律の中で憲法に違反するものを無効にするもの。だから、憲法をやる前に、憲法以外の法律を学んだ方がよい
②民法には、他の法解釈でも出てくる概念がつまっているので、先に民法を学習したほうが効率的
③民法は量が多いので、先に手を付けた方がよい。

ということがあげられます。
ですので、民法から学習しましょう。

3、用意する教材
入門段階で用意する教材は

①六法
②インプット用教材
③論証集(インプット用教材に含まれていれば不要)
④短答問題集
⑤簡単な論文問題集

になります。
教材については、記事を変えて解説していきます。

法科大学院(ロースクール)

1、はじめに

司法試験を受けるためには資格が必要です。

そして、司法試験受験資格を得るためには、予備試験に合格するほかに、法科大学院(ロースクール)を修了する手段もあります。

ここでは、法科大学院(ロースクール)制度についてご説明しましょう。

2、法科大学院(ロースクール)とは?

専門職大学院の一つで、法曹に必要な学識及び能力を培うことを目的とするものです。

大学院なので、原則として、大学を卒業して(法学部でも他学部でもよい)入学試験に合格する必要があります。

修士課程相当ですが、研究より、法律実務に必要な知識を身に付けることに重点が置かれます。

講義は、「ソクラテスメソッド」という方法が用いられます。

受講生は、ケースブックと呼ばれる判例をもとにした設問集や事例問題集のようなものを予習していきます。

そして、教授が受講生を指名しながら、議論をしていくのです。

このような双方向の講義方法が採られています。

3、法科大学院(ロースクール)入試制度

入試制度は、各大学院によって異なります。ただ、おおむね、未修者コース(3年コース)と既修者コース(2年コース)の2つが置かれることが多いです。

未修者コースは、法律を学習したことがない方向けのコースです。

法学部以外の卒業生を主な対象にしておりますが、法学部の卒業生でも受験は可能であることが多いです。

小論文とステートメント(志望理由書)で合否が判断されることが多いです。
また、英語のスコア(TOEFLなど)が要求されることも多いので、受験される方は募集要項をよく見ておきましょう。

一方、既修者コースは、法律を学習したことがある方向けのコースです。

法学部卒業生を主な対象としておりますが、他学部の卒業生でも、法律を学習していれば受験は可能であることが多いです。

この場合、法律の論文とステートメントで合否が決まるのが一般的です。
英語のスコア(TOEFLなど)が要求されることもあります。
ただ、法律の論文の点数が重視されます。

4、未修者コースの問題点

未修者コースは、あくまで一般論として、司法試験に合格しにくいと言われています。
それは、1年間で既修者に追いつかなければならないからです。
ただ、もちろん1年間必死に努力すれば、既修者に追いつくことは不可能ではありません。

別の方法として、法律を学習したことがない方も、独学あるいは司法試験予備校を使って法律を学習し、既修者コースに入るという手段もあります。

予備試験とは

1、予備試験とは
正確には、司法試験予備試験といいます。

司法試験を受験するためには、ロースクールを卒業するか予備試験に合格する必要があります。
司法試験の受験資格を得るための1つの方法が、予備試験です。

そして、予備試験には、受験資格は不要です。昨年度は高校生が合格して話題になりました。
ロースクールは大学院ですので、原則として大学を卒業している必要がありますが、予備試験はそうではないのです。

予備試験に合格すると、翌年から5回、司法試験を受験できることになります。

2、試験の概要と内容
(1)スケジュール

以下のようなスケジュールになります(最新のものは法務省のホームページや試験案内を確認してください)。
http://www.moj.go.jp/jinji/shihoushiken/shikaku_saiyo_index.html

短答式試験(5月の通常日曜日) → 論文式試験(7月の通常土日2日間) → 口述試験(10月の平日2日間)

合計5日間、結構長丁場の試験になります。
また、短答式に合格して、論文式に不合格でも、翌年は短答式試験からやり直しになります。
論文式試験に合格して、口述式試験に不合格でも同様です。
振り出しに戻ってしまうわけですね。

受験会場は、平成29年度は、北海道、仙台、東京、名古屋、兵庫県、広島市、福岡市でした。
※北海道とあるのは札幌市近郊、兵庫県とあるのは大阪市近郊という意味です。

(2)試験科目
ア)短答式試験
…憲法・行政法・民法・商法・民事訴訟法・刑法・刑事訴訟法・一般教養科目(人文科学・自然科学・社会科学)

これらが1日で行われるわけです。かなりハードな試験です。
短答式試験は、マークシートの試験で、正解の選択肢を選ぶ試験の形態です。
実は、予備試験後に受験する、司法試験の短答式試験の方が、科目は少ないです(司法試験の短答式試験は、憲法・民法・刑法の3科目)。

イ)論文式試験
…憲法・行政法・民法・商法・民事訴訟法・刑法・刑事訴訟法・民事実務・刑事実務・一般教養科目(論文)

これらの科目が2日間で行われます。予備試験の天王山は、この論文式試験です。
短答式試験は、勉強すればそのうちできるようになります。
しかし、論文式試験は、書き方のコツみたいなものがいるので、なかなか書けるまでに時間がかかってしまいます。

受験会場は、平成29年度は、札幌、東京、大阪、福岡でした。

ウ)口述式
…民事実務・刑事実務

2つの科目が2日間で行われます。受験会場は東京しかないので、地方の受験生も東京で受験することになります。
口述式試験は、「面接」ではありません。ですので、志望動機は聞かれません。

どちらかというと、「口頭試問」というものに近いです。
口頭試問は、大学院入試などで行われるもので、学問的な内容を聞かれます。
予備試験では、学問というよりは、法律の実務的な内容を聞かれます。

例えば「東京に在住のXさんが沖縄在住のYさんの運転する車に大阪でひかれました。XさんがYさんに200万円の損害賠償請求する時、どこの裁判所に訴訟提起できますか」
というようなことが聞かれます。
どこの裁判所で裁判をやるか、ということは裁判管轄の問題といいまして、実務上は非常に重要です。
自分の住所の近くの裁判所の方が便利ですからね。

3、合格率について
平成29年度で計算してみました。

短答式試験 10665人(採点対象者)合格 2299人 合格率約21.6%
論文式試験 2185人(採点対象者) 合格 469人 合格率約21.5%
口述式試験 469人         合格 444人 合格率約94.7%

全体を通しての合格率 約4.16%

上記をみてお分かりのとおり、かなり難関の試験です。

ただ、短答式試験は誰でも(法律の勉強をあまりやっていなくても)受験できます。
一方、論文式試験は、本当の猛者(短答式試験を突破したから、法律の能力がある者)が受験します。
論文式試験が勝負です。

口述式試験は、ほとんどの方が合格しますが、万が一不合格だと振り出しに戻るので、その緊張感はかなりのものです。筆者も、受験したときは手汗がびっしょりでした。

予備試験の学習法については、また改めて書きます。

司法試験とは?

司法試験とは、合格すれば、法曹(弁護士、裁判官、検察官)になれる試験です。

正確に言うと、司法試験に合格してから、1年間の司法修習に行き、司法修習修了試験(俗にいう2回試験)に合格し、

弁護士なら、登録希望の弁護士会への登録

裁判官や検察官なら、登用されることが必要です(公務員のため)。

司法試験は、4日間にわたり行われる過酷な試験です。

(筆者は、現代の「科挙」と考えています。科挙は、中国でかつて行われた官僚登用試験です)。

司法試験だけでも、難関試験なのですが、実は司法試験を受験するためには、

資格がいるのです。

(どんな複雑な構造だ。。。)

その資格を得るための方法は、

①予備試験に合格すること

②法科大学院(ロースクール)を修了すること

のどちらかになります。

どちらかの方法で資格を得ると、5年間に5回司法試験を受験する資格を得ることができます。

予備試験と法科大学院(ロースクール)については別記事で解説しましょう。